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卸売業で進むAI活用の実践ステップ!~商社・卸企業が今取り組むべき生成AI戦略とは~
2025.10.27 代表ブログ
前回の記事では、「生成AIが卸売業にもたらす可能性」についてお話ししました。今回はその続編として、「実際にどのようにAIを業務に取り入れていくか」「どのような成果が見込めるのか」について、もう一歩踏み込んで紹介します。
生成AI活用、いよいよ“実践フェーズ”へ
ChatGPTやGoogle Gemini、Microsoft Copilotなど、生成AIの名前を耳にする機会は一気に増えました。しかし、「社内でどう使えばいいかわからない」「試してみたけど、結局続かなかった」という声も少なくありません。日経新聞の記事にも以下のような内容が書かれていました。
総務省が8月に公表した最新の情報技術の研究開発などに関する報告書によると、日本人は欧米に比べ「使い方が分からない」としてAI利用を避ける傾向がある。一方で「利用環境が整っていない」と考える日本人の比率は欧米と大差ない。専門知識なしに使える業務用のAIは、欧米に比べて遅れているとされるAIの業務活用を変える可能性がある。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF308F30Q5A730C2000000/ より引用
多くの卸売業・商社では、まだ“情報収集段階”にとどまっています。しかし2025年に入り、少しずつ「実際の業務で使う」企業が増えてきました。生成AIは、もはや未来のテクノロジーではなく、現場の生産性を変える“実践ツール”へと進化しています。
卸売業でのAI活用、こんなところから始めよう
① 営業資料・提案書の自動生成
営業担当者が時間をかけて作成していた提案書や見積もり文面を、AIが自動で下書きします。たとえば「取引先A社向けのキャンペーン提案資料を作って」と指示すれば、AIがテンプレートに沿って内容を提案。修正・加筆するだけで完成度の高い資料が数分で仕上がります。AIの補助を取り入れることで、営業1人あたりの提案数を2〜3倍に増やす企業も出てきています。
② 商品説明文やカタログ原稿の作成支援
商品点数の多い卸売業では、商品説明文を整備するだけでも大きな負担です。生成AIを使えば、「スペック情報」から自動で説明文を生成し、WebカタログやECサイトに掲載できます。実際に、ある食品卸企業ではAIを使って年間2,000点以上の商品説明文を自動生成。担当者の作業時間を8割削減しながら、文章の品質も統一されました。
③ 問い合わせ対応・FAQの自動化
電話やメールでの問い合わせ対応は、卸売業における大きな業務負荷のひとつです。生成AIを活用したチャットボットを導入すれば、営業時間外でも一次対応が可能になります。「在庫確認」「納期のお問い合わせ」「見積依頼」など、よくある質問はAIが即答し、担当者は複雑な対応に集中できます。
④ 経営レポート・会議資料の自動要約
経営層にとっても、AIは心強い味方です。売上データや営業日報をAIに要約させれば、わずか数分で「月次報告資料」が完成します。さらに、数値の傾向を踏まえて「売上が落ちている原因」「伸びている商品カテゴリ」なども自動でコメント可能です。経営判断のスピードが格段に上がり、意思決定のタイミングを逃さなくなります。
商社・卸企業がAI導入でつまずくポイントと解決策
AI活用を進める中で、よくある課題が以下の3つです。
よくある課題 解決の方向性
社内で使える人が限られている → まずは一部署・少人数で“スモールスタート”する
情報漏洩や誤情報が不安 → 社内用AI(社内データを安全に扱う環境)を導入
目的が曖昧で続かない → 「何の業務を効率化するか」を具体化して導入
特におすすめなのは、「業務テーマを絞ったAI活用」です。たとえば「営業資料の効率化だけ」「メール作成だけ」など、明確な目標から始めると成果が出やすくなります。
現場に定着させるための3つのポイント
経営トップが方向性を示すこと
AI導入は現場任せにせず、経営層が「どの分野でAIを活かしたいのか」を明確に示すことが重要です。
試行錯誤を歓迎する文化づくり
最初から完璧を目指さず、「まず試してみる」文化を社内で広げましょう。AIの精度は使うほど高まります。
ツール選定を慎重に
ChatGPTだけでなく、Gemini、Claude、Copilotなど各社ツールの特性を理解し、業務に合ったものを選ぶことがポイントです。
11月14日(木)開催!卸売業向け生成AI活用セミナーのお知らせ
いよいよ、前回予告していたセミナーの開催が決定しました!

開催日:2025年11月14日(木)
会場:札幌市内(詳細は下記リンク参照)
テーマ:卸売業における生成AIの実践活用術
詳細・申込はこちら → 全3回開催|第1回:11/14開催|【卸売業のAI武器化】「非活用」から脱出! 利益を劇的に高める「深い活用術」
セミナーでは、ChatGPTやGoogle Geminiを実際に使いながら、営業資料を自動生成する方法や、社内で安全にAIを使うポイント、導入後の定着ノウハウなどを、実演を交えて紹介します。
AIを“聞いたことがある”から“実際に使える”へ。
これからの時代、卸売業にとってAIは「人手不足を補う技術」ではなく、「競争力を高める武器」になります。ぜひこの機会に、次の一歩を踏み出す機会としてご活用ください。
まとめ:AIは卸売業の新しい“営業力”をつくる
生成AIは、単なる効率化のためのツールではありません。それは、「知識と提案力を全社員に分配する仕組み」でもあります。営業担当、事務スタッフ、経営者、それぞれがAIを活かすことで、「小さな組織でも大きな成果を出せる時代」へと変わり始めています。2025年、卸売業におけるAI活用はまさに“実践フェーズ”へと進む年です。貴社のAI活用の第一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。
WRITER
吉田 寛
株式会社アリスタイルの代表。得意分野は、お客様のビジネス理解力と、それをベースとした企画開発力です。主にBtoBビジネスのお客様のマーケティングとマネジメント分野の成長・改善をITでお手伝いします。